NO37 きじも鳴かずば撃たれまいに

むかしむかし、犀川(さいがわ)のほとりに、
小さな村がありました。この村では毎年、雨の季節に
なると犀川がはんらんして多くの死人が出るため、
村人たちは大変困っていました。
この村には、茂平(もへい)という父親と、
お菊(おきく)という小さい娘が住んでいました。
お菊の母親は、この前の洪水で死んでしもうた。
二人の暮らしはとても貧しかったのですが、それでも
父と子は毎日仲よく幸せに暮していました。
そしてまた、今年も雨の季節がやってきました。
そのころ、お菊は重い病気にかかっていましたが
茂平は貧乏だったので医者を呼んでやることも
出来ません。「お菊、あわのかゆでも食ってはよう
元気になれや。」
お菊に食べさせようとしても
お菊は首を横に振るばかりです。
「ううん、わたし、もう、かゆはいらねえ。
わたし、あずきまんまが、食いてぇ・・」
あずきまんまとは赤飯の事でお菊の母親が
生きていた頃にたった一度だけ食べた事がある
ごちそうです。ですが今の茂平には、あずきどころか
米の一粒もありません。茂平は寝ているお菊の
顔をジッと見つめていましたが、やがて何やら
決心したように、立ちあがりました
「そうじゃ、庄屋さまの蔵にならあるはずだ」
茂平は雨の夜道を走っていった。やがてびしょぬれに
なって戻ってきた茂平の手には米とあずきが・・・。
茂平はこうしてたった一度だけ、盗みを
はたらいてしもうた。

その晩、茂平はお菊に
あずきまんまを食べさせてやりました。「さあお菊
あずきまんまじゃあ」

「おとう、あずきまんまは
おいしいなあ」

「おお、そうかそうか
よかったのう」
こうして
食べさせたあずきまんまのおかげかお菊の病気は
だんだんとよくなり、
やがて起きられるように
なりました。

いっぽう、庄屋さまの
家では毎日枡できちんと
はかってしらべておった
そうで、米とあずきが
盗まれた事に、すぐに
気がつきました。

まあたいした盗みでは
なかったが盗みは盗み
といちおう、

番所にとどけました


TOPへ戻るよ〜 2頁目へいくよ〜