戻る NO24 たのきゅう NO25 浦島太郎へ

むかし むかし たのきゅうという名の旅役者がいました。
あるとき、おっかさんの待つ家に帰るとちゅう、ある山の
ふもとの茶屋までやってきました。この山をこせば、
おっかさんの待つ村はすぐそこです。
茶店のおばあさんがいいました。
「これから、峠を
こえなさるんか?夜はいかん大きなウワバミがでてな、
人間をパクリじゃ!」
「とめてくれるな、わしはさきを
いそぐんでな。」
とたのきゅうは暗い山道へはいって
いきました。しばらくいくと突然たのきゅうの前に
たちはだかった大男。
「ぎゃ〜っ、で、でた〜」
「おまえはなにものじゃ。」
「た・た・たの・たのきゅうじゃ。」
「なに、たぬきか。うまく化けたもんじゃなあ。」

大男は目が
近眼でおまけに耳が遠い。それで
たのきゅうをたぬきが化けたのだと、かん違いを
してしまったのです。大男がいいました。

「これ、たぬき、わしゃ、しばらく人間の女を
みとらんで、女に化けてみせてくれ。」

「ようござんす。はずかしいからおらが化けるあいだ、
ちょっくら後ろをむいてくだせぇ」
大男は素直に
「いいとも」とうしろをむいてくれました。
たのきゅうは背中の荷物の中から
女ものの衣装やかつらを出し身につけました。

大男は、若い女の姿に化けた、たのきゅうをみて
大喜びです。たのきゅうもその気になって、
女しばいをします。
たのきゅうが色っぽく笑います
うっふん、ねえ、
あんたあ。
いい男ね〜。」


「えへへ・・。ぼく
はずかしい」

すっかりてれて
しまいます
大男がぼうっとしているすきに、たのきゅうはもとの姿に
もどりました。たのきゅうの化け方に、感心した大男が
いいました。
「じつは、わしも化けておってな、わしの正体
はこれじゃ〜。」
大男は大きなウワバミになったのです。
「ひや〜っ」たのきゅうは腰が抜けて動けません。
「心配するな、わしは人間ならひと飲みじゃが、
たぬきは食わん。」
「そう、そう、わし、わしはたぬきじゃ。」
たのきゅうがふるえながらきせるを出し、たばこを
口にくわえたときです。
「やめてくれ〜わしはたばこの
煙をかぐと、ふらふらして死にそうになるんじゃ。」
「へぇ〜。たばこがにがてとはねえ・・。」
「このことは人間にはいうなよ。」
「はい、もちろんいいませんとも。じつはわしにもにがてな
ものがあるんじゃ。わしのにがてはお金、小判でな
あれをみただけで苦しくて、死にそうになるんじゃ。
このことはないしょですよ。」
二人は、おたがいに
秘密を守る約束をして、わかれました。
山をおりた、たのきゅうは、村の人たちにこの話を
しました。日ごろからウワバミに苦しめられていた
村びとたちは、さっそくおおぜいでたばこを
ぷかりぷかりふかしながら、山を登っていきました。
これにはウワバミもびっくり!たばこのけむりを
吸ってふ〜らふら。
「おのれ〜たぬきめうらぎったな〜」
おこったウワバミは、さいごの力をふりしぼって
たのきゅうの家をめざし、山を下っていきました。
たのきゅうはウワバミがくるのをいまか、いまかと
待っていました。
「も〜うそろそろくるころだが・・」
ゴ〜ッというもの凄い音とともに
ウワバミが窓から顔だしました。
「たぬきめ!よくもわしのにがてを、人間にばらしたな。
そら、これでもくらえ。」
ウワバミは、小判をなげこんで
きたのです。たのきゅうの思ったとおりでした。
「ひゃ〜っ、小判だ〜。うれしい〜、じゃなかった
苦しいよ〜。」
苦しむたのきゅうをみてウワバミは
「思い知ったか!わっははは。」と満足げに山に
帰っていきました。たのきゅうはうもれた小判の中から
顔をだし
「苦しいよ〜。うれしい〜よう。」
こうしてたのきゅうはウワバミのおかげで
大金持ちになりおっかさんと幸せに暮らしたんじゃと。