戻る NO19 つるの恩返し NO20 うぐいす長者


むかしむかしあるところに、心のやさしいおじいさんとおばあさんが
住んでいました。冬の寒い日のことでした。おじいさんが
山で芝かりをしての帰り道一羽のツルがワナにかかって
もがいていました。「おお、おお、可愛そうに」 おじいさんは
つるを逃がしてやりました。つるは、嬉しそうに飛び去って
いきました。その日の夜、トントン、トントンと誰かがたずねて
きました。おじいさんがそっと戸を開けると可愛い娘が
立っていました。旅の途中で道に迷ったというのでした。
「それはお困りじゃろう今夜はここにおとまりなさい」と
家にまねきいれ話を聞いてみると、どこにもいくあてがない
というのです。「それならわしらと一緒に暮らしなされ。」
「こんなにうれしい事はありません。よろしくお願いします。」
と娘は二人に頭をさげました。それから三人貧しいけれど、
楽しい毎日を過ごしました。そんなある日の事
「これから、はた織りをさせていただきます。私がはたを織っている
あいだはけっして戸をあけないでください。」娘はこういうと、
はた織部屋に入って戸をぴったりしめきりました。
はた織り部屋からギイッ バッタン・・とはたを織る音が夜も昼も
ひびきつづけました。3日がたちました。はたを織り終えた娘は
美しい反物をさしだして「これを町にもっていって下さい。きっと高く
買ってもらえるはずです。」おじいさんは反物を持って町へ売りに
出かけました。反物は高い値段で売れました。
「わたしはおじいさんたちにもっとはたを織ってあげたい。」
ギイッ バッタン ギイッ バッタン 休むまもなくはたを織り
つづけました。ところが、七日、十日とたつうちに
娘はやつれていきました。おじいさんは心配になりはた織りを
やめるようにいいましたが娘は「あと一反だけ」とはた織り部屋に
入っていきました。おじいさんとおばあさんはその夜娘が
心配で眠れません。おじいさんはそっと起きだし娘との約束を破り
はた織り部屋をのぞいてしまったのです。なんとはたを織っている
のは娘でなく一羽のつるでした。驚くおじいさんに「私はあの時
助けていただいたつるです。命を助けていただいた恩返しを
しようと一度だけ人間の姿になることを許されてここに
まいりましたが、も〜うここにいることはできません。」そういって、
娘はつるの姿に変わって、わかれを惜しむように一声鳴くと
どこともしれず冬の空高く飛び去っていきました。