戻る NO13  幽霊の酒盛り NO14猿地蔵へ


むかしむかしあるところに一軒のこっとう屋がありました。
あまりはやらぬこっとう屋じゃった。
そんなある日お客がやってきた。
「なにか、めずらしいものは、ないかいな?」
「ふむ、山水か、へいぼんじゃな。ふむ、書か。
へたくそな字じゃ。どれもこれもありきたりでつまらんな」
とそのとき客の目がかがやきました。
「むむっ!こいつはめずらしい!気に入った。
いくらじゃな」それは女の幽霊のかけじくでした。
ただ同然で買ってきたがらくたでしたから二十文も
もらえばじゅうぶんとこっとう屋は指を二本だしてみせた。
「なに、二十両?そいつは安い!」と
客はこっとう屋にさいふをわたしていいます。
「今、持ちあわせがないから手つけだけはらっていこう。
のこりはあす持ってくるからだれにも売らんでおくれ」
こっとう屋が、客を見送りさいふの中をみてみると
「うひゃ〜すごい大金だ〜」思わぬ大金にこっとう屋は
うれしくなって幽霊のかけじくを前に一人で
酒盛りをはじめた。「笑いがとまらんとはこのことじゃ。
しかし二十両と思ってよくみるとこの幽霊なかなかの
美人じゃ」そしてかけじくの中の幽霊に「おまえさんの
おかげでかせがせてもらった。ちょっと出てきて
しゃくでもしておくれな〜んてね」とそのとき、
夏だというのにあたりがす〜っと
つめたくなり、風もないのに明かりも消え・・
目の前に見知らぬ女の人が立っているのです。
「ん!まさか!・・」かけじくをみると
もぬけのからのまっ白け。「ぎゃ〜でたぁ〜」かけじくの
幽霊は美人とほめられうれしくておしゃくをしに
出てきたのです。はじめはこわがっていたこっとう屋も、
美人の幽霊のおしゃくですっかりいい気分。
おまけにその幽霊の酒の強いこと、強いこと。
二人は夜どおし、飲めや歌えやのどんちゃんさわぎ。
つぎの朝、目がさめたこっとう屋はかけじくをみて
おどろいた。「ね、ねてる〜」かけじくの中の幽霊が
ねているではありませんか「う〜ん困ったなぁ〜
早く起きてもらわないと二十両が
ぱ〜あになっちまうよ〜」